2010/12/05

ソーシャル・フォト・コミュニケーションの可能性

10月にローンチしたらしいinstagramというサービスが
最近アメリカを中心に急速に広がっているらしい。

すでに記事があるので参考までに。

参考ブログ
iPhone専用写真共有サービスのInstagram、わずか1週間で10万人のユーザーを獲得






私のtwitter上のTLでも
最近instagram経由で写真をupする人が増えた気がする。

日本でも先週発表された
サイバーエージェント提供のstart up 2010の支援企業に
フォト・コミュニケーションサービスと思われる
Snapeee
というサービスを提供する会社が選出されています。

にわかに盛り上がっていきそうなフォト・コミュニケーションサービスについて
考察してみたいと思います。

■フォト・コミュニケーションサービスとは

今までの画像共有サービス
フリッカーとかとは何が違うのか?
instagramに関してはtwitterの写真版という表現が適切で
フォローした人がupした写真がTL上に流れる。
upした写真に対してフォロワーは
FBでいうlikeボタンみたいなものかコメントで絡んでいく。
写真が出発点となり写真上でコミュニケーションを取る。
この点は「ソーシャルリーティング」の発想に近く
個人の写真アルバムに簡単にコメントできる。
表現としては「ソーシャル・フォト・コミュニケーション」
(略してSPC。特別目的会社ではない。念のため)
とするとしっくりくるかもしれない。

SNS上でもフォト・アルバムとかありますが
SNS上だと個人ページに10枚以上の写真が入ったアルバムがupされたり
わざわざ個人のページまで見に行かなければならないので
少しめんどくさいです。

■twitterとの「コミュニケーション性」の比較

twitterが140文字の「文字」の投稿に対し
instagramは一枚の写真の投稿が出発点となる。
twitterは文章以外でも写真でも動画でもupできる
コミュニケーション自体言葉を交わすことが必要なので
「適度な長さ」でコミュニケーションを図れる
twitterの方がコミュニケーションの広がりはあるだろう。

一方でinstagramの良さというのは
写真がコミュニケーションのベースであり
それに対してtwitterよりさらにライトなコミュニケーションが楽しめる点。
実際に使ってみるとコメントよりもlikeボタンの頻度の方が高いようで
視聴者の意思表示は非常に簡易的であり
全投稿数におけるコミュニケーション・トラッフィク率
(CTRと呼ぼう。Click Trough Rateではない)
twitterでいうRTや@とinstagramでいうlike itやcommentを比較すると
instagramのCTRの方が圧倒的に高いのではないかという仮説を私は立てる。

その仮説の根拠となるのが
文章へのコメントよりも写真へのlike itやコメントの方が
簡易的で反応しやすいから。
この「簡易さ」はすごく可能性を感じさせます。

一方でtwitterは個人的にはロムり始めて1年くらいですが
トラフィック自体は相当伸びたでしょうが
アクティブ率は下がって結果的にCTRは下がったんじゃないかな?と思っています。

twitterとinstagramを比較してみましたが
競合するものというよりは共存するものかなと感じています。

■写真の可能性

私の周囲の人のご意見を拝借して申しますが
写真はデジカメとか携帯に保存してあるクローズドなもので
わざわざSNSやフリッカーに共有するのがめんどくさいし
そのインセンティブも低かったため
オープン化されていない写真がかなりある。
SPCによって即時に写真をupして
何らかのコミュニケーションがとれる可能性が高いインセンティブがあれば
オープン化される写真が増えるのではないかという仮説があり
たしかにその通りだなと思います。

ただの「like it」と「comment」だけでオープン化する写真が増えるか?
それに関しては私にはまだ何も言えませんが
twitterもシンプルさが強みだったので
今後SPCが伸びていく可能性は十分にあるでしょう。

■コミュニケーションって何?

ワンクリックの「like it」でも成立してしまうのが現代のコミュニケーション。
ソーシャル時代におけるコミュニケーションとは
「承認欲求」を満たすのに最適だから流行っているんだろうなと思います。
SNSなど「コミュニティ性」の強いものは「帰属欲求」。
その帰属欲求も最近は満たされてきたので
もっと個人の私を認めてほしいという「承認欲求」の高まりも
twitterのようなマイクロコミュニケーションサービスが伸びた背景にあると思います。

ただし、SNSのヘビーユーザーとtwitterのヘビーユーザーは
層が被っていないという指摘もあると思いますが。
日本国内で考えるとmixiとtwitter、ライトorヘビーの4象限を取ると
その人がどういう人か見えてくるかもしれない。
僕はmixiライト(というか退会)×twitter(ヘビー)
=帰属欲求が低く承認欲求が高い人
という見方もできるかもしれませんね。

ソーシャル時代のコミュニケーションは
「繋がってる感」=帰属欲求
「認められている感」=承認欲求
とくると次の「自己実現欲求」を満たされるサービスが来る気がしますね。

■日本で来るの?ソーシャル・フォト・コミュニケーション

プリクラが流行ったことも考えると
個人の顔写真をオープンに公開する(したがる)性質があったり
一方では誰が見るかわからないのに顔写真を公開するのかに
疑問を持ちそうなクローズドな性質もあったりするので
「日本ですぐに」爆発するかどうかは現状では何とも言えない。

写真を最も撮る層はF1層かと思われ
そのF1層のマーケットを取る可能性が
先述のCAが支援を決定したsnapeeeが
Amebaと上手くアライアンスを組めたら可能性はあると思います。







アメーバなうに組み込んだりして
アメーバのF1ユーザーからの流入を増やしたいとかが狙いだと思うのですが
私の知る限りではCAはCVC的な取り組みが得意だとはあまり思えません。
アライアンスを推進する部とかない気がしますし
パッと見「おっ、事業シナジーありそうじゃん!」と思えますが
事業シナジーには期待しない方が良いでしょう。

仮にアメーバ×Snapeeeができれば
アメーバ×Snapeee VS twitter×instagramの構図ができるでしょうが
僕は後者に軍配が上がるかなと思います。

SPCもプラットフォームサービスですが
どのプラットフォームと組んでレバレッジを効かせられるかが
勝負の分かれ目となるでしょう。

位置情報やARと組み合わせても面白そうだな。。。
既に位置情報はinstagramには内包されているか。

写真「共有」に留まらず写真「メディア」があれば面白いと思うんだけどなあ。
動画でいうYou tubeやニコ動のように共有に毛が生えた程度でもいいから。

メディア⇒マイクロコミュニケーション⇒メディア⇒マイクロコミュニケーション

という循環がトラフィックを増大させると思うのですが。


■まとめ

ソーシャル・フォト・コミュニケーションは
マイクロコミュニケーションのtwitterよりも
さらにミクロ単位での簡易的なコミュニケーションが可能で
写真という「明確なコンテンツ」が起点となるため
今後世界的に爆発する可能性は極めて高いなと思いました。

来年あたりは日本でもinstagramが着実に会員を伸ばすんじゃないでしょうか。
twitterにはいないようなAmeba層をsnapeeeで取り入れることができるか
そこが注目すべき焦点になるでしょう。